2010年4月21日水曜日

全日本でKTM350SXを見た



全日本モトクロスに行って来ました。
土曜は前日に降った40年振りの4月の雪の影響で、コネコネの田んぼ状態。路面コンディションは日曜にはだいぶ回復して良いバトルが見れました。
レースの写真はJRPA(日本レース写真家協会)のウェブギャラリーでご覧下さい。
http://www.jrpa.org/gallery.html

このブログに貼付けたKTMの写真ですが、全日本のKTMブースに展示された話題のKTM350SXです。
この車両はファクトリーマシンということですが、市販車もこれに近い形で販売されるのだと思います。
ちょっとオタクな話になってしまいますが…。
現在モトクロスの4ストエンジンは250ccと450ccのクラスに分かれています。
排気量=パワーですから競技規則の上限が排気量というのが普通。
ではなぜこのバイクは350ccなのでしょう?
KTMは色々と思う所があって350ccという排気量を選んだ訳ですが、この排気量は柴田的にも実に興味深い。
このKTM350SXは今年の世界GPに実践投入されて450ccを相手に優勝してます。

さて近代の4ストモトクロッサーの始祖はハスクバーナやフサベルだと思いますが、4ストエンジンをモトクロスの世界で一気にポピュラーにしたのは98年に発売されたヤマハのYZ400Fでしょう。
この市販YZ400Fの前にYZM400Fというファクトリーマシンがありました。
このYZMは2スト250ccのフレームに同等のパワーを持つ4スト400ccのエンジンを搭載したバイク。
モトクロスの世界ではパワーもさることながら車体性能こそ速さを決める大事なポイントですから、純粋に速さを追求するためにヤマハは同社内で最も優れたオフロード性能を誇るYZ250(2スト)の車体を選んだのです。

ヤマハはさっそく翌年に市販バージョンであるYZ400Fをデビューさせますが、この市販YZ-Fの車体はファクトリーYZM-Fに比べると少々大柄で500ccクラス(当時の世界GPでは最上級クラス、現在のMX3クラス)に匹敵するようなバイクでした。
その後レギュレーションにより排気量は450ccに落ち着き、2スト250と一緒に走ったり、または車格的にはオープンクラスも走れるようになりました。
4メーカーとも兄弟車にはデザートランに適したエンデューロバージョンもあり、北米での販売はうまく行っています。

一方これは個人的な見解ですが現在の技術のエンジンパワーなら450ccよりも少ない排気量で軽く専用設計した方が最速車を作れそうな気がします。
分かりやすく書くと450ccはパワーが余って重くてデカいって事です。
そこに登場する軽量コンパクトな車体を持つジャストサイズのKTM350SX。
フレームも新作でリンク式のリアショックが付いてます。
話題のKTM電気バイクにも興味があるが、この350SXにも乗ってみたい。
ちょっとワクワクするバイクです。
この350SXの走りがどうなのか、各誌のインプレが楽しみです(撮影したいなぁ)。

将来的には「現在450ccのレギュレーションを350ccにする」という動きがあるようです。
そうなったら「不景気だから…」なんて言わずに日本の4メーカーも350ccを作るでしょう。
98年に比べて技術革新によりかなり乗りやすくなった各社の450cc。
その技術で作る350ccはYZM400Fの様に小さくても強力なエンジンとさらに軽量な車体の組み合わせで、ピュアに走りを追求するバイクとなるでしょう。