2008年7月1日火曜日

試行錯誤


このジャンプはプロサーキットのライダー(たぶんストループ)ですが、ちょっと面白いでしょ。何が変わっているか、分かるかな?
この時、自分はコースの左側から撮っているのに、バイクの右側が写っています。でもこれは空中でバイクを振っているからで、ジャンプの後半ではこういう風に撮れるもの。どっちに向かって飛んでいるのか判別不明な浮遊感があるんですが、今回のテーマは別の所にあります。
この写真は光が右前方から当たっているでしょ。これが今回のテーマ。
とにかくスーパークロスの撮影方法や機材は試行錯誤の繰り返しでした。飛んだり走ったりを撮るだけでも大変なのに、なにせナイター照明の下で行われるレースですから昼間のようには撮れません。
高感度フィルムで撮るカメラマンもいましたが、僕は「暗い中のレースをいかに奇麗に撮れるか」を大事に考え、ASA64のPKRを常用していました。当然、ストロボは必須です。
上手く写せる様に数えきれないくらいのストロボを購入し、そのストロボのバッテリーを色々と変えて、フィルムの種類も変えたりカメラやレンズも何種類も使って来ました。
デジタルカメラになって高感度でも奇麗に写るようになりました。これからもっとデジタルカメラが高性能になったらストロボレスで撮影できるかもしれません。しかしスーパークロスに関しては未だストロボが有利と思ってます。
さてこの写真ですが、自分が使っているニコンSB800というストロボには、ワイヤレスで別のストロボも同時に発光させる機能があります。これを使ってコースの向こうの右前方に置いたストロボを光らせてます。
フィルム時代にもワイヤレスストロボで撮影したことがありますが、デジタルだと露出などの結果をモニターで確認できるのでより簡単に、そしてより踏み込んだ撮影が可能になります(SB800ならコースの向こうに置いたストロボの光量を、こちら側から自由に調整できる)。
ドームの天井の暗さや照明の位置と流れ具合、そこに浮かぶプロサに向こうから強めのストロボがガチンと決まって、我ながら「こりゃええぞ」と撮ってました。
その時、夢中で撮影している僕の肩を叩く人が…。
「あのストロボは君のかな?  立入禁止区域だから即刻退かしなさい」
「いや、その立入禁止だから、ストロボだけ置いてるんだけど…駄目?」
という訳で新アイディアはレース主催者のスタッフによって阻まれ強制終了。
ライアン・ダンジーの写真もワイヤレスストロボを使用してます(アウト側から撮っているのに、イン側からストロボが分かりますか?)。
何気ない写真でも、こんな風に試行錯誤の中から生み出されるものなのです。